■不運な文房具 デジタルカメラ「ダ・ビンチ」
最近は色々なデジタルカメラが町中に氾濫しているが、１９９０年にキングジムから発売されたデジタルカメラ「ダ・ビンチ」は、価格も４９８００円と意欲的なもので、当時としてはユニークな商品だった。当時の国産のデジタルカメラといえば、非常に高価で、パソコンとの連携も簡単ではなかった。
「ダ・ビンチ」のユニークなところは、撮影した画像をそのまま感熱プリンターで幅5cmの用紙にモノクロで印刷してしまうことだった。もちろん沢山の画像を保存するメモリーがなく、画素数は１１万画素くらいで、粗い画像であった。マクロ撮影アタッチメントもあったはずだ。感熱プリンターを応用した「コピージャック」の延長上の企画だったのかもしれない。
撮影して直ぐにプリントができるので、身の回りのものやことを記録したり、初対面の人を顔を撮影して名刺の裏に貼っておくといったメモとして使うことができた。しかし、いま一つ物足りなさがあって、爆発的に売れることはなかった。やはり、デジタルカメラとしては、時期尚早だったのかもしれない。
それにしても、キングジムは、デジタル機器の製造技術はなかったが、非常に企画力があったと思う。それもテプラまでのようだ。その後の商品展開をみていると悲しくなってしまう。
