■片岡義男 「文房具を買いに」
インターネット書店amazon.comでも人気上昇中の８月の新刊が作家の片岡義男さんの「文房具を買いに」だ。文房具特集の雑誌は、発行部数５割り増しという話を聞いたことがあるが、文房具の本も必ず売れるような気がする。
片岡義男さんが実際文具店を訪れて購入した文房具を素材に、自分で写真を取り、解説を書いている。２ページの文章と２ページの写真がひと組になっていて、読んでいるうちに文房具を買いに行きたくなってくる。
あとがきに「泥や岩から始まった文房具は机の上に居場所を獲得し、現在にいたるまでの人間の文明のすべてが、そこから生まれていくこととなった。」と書いてあるように、文房具が文明を支え作り出す重要な道具なのだ。
この本を読み終わって、非常に残念なのが世界最高水準の国産文房具がほとんど出てこないことだ。それも良く見ないと判らないくらいなのだ。ヨーロッパとアメリカの文房具に占領されている。
片岡義男さんの趣味なのかもしれないが、品質がそれほど良いとは思えないヨーロッパとアメリカの文房具を選んだということは、画一的で個性がない国産文房具に魅力がないことにならないだろうか。
この本に出てくる文房具を扱っている本郷の小さな文具店のＳＣＯＳで見ていると、小さな文房具を沢山買い込んでいく女性達が沢山いる、文具店が潰れるというのが不思議になる。
出版社：東京書籍
定 価：1,600円＋税 ISBN: 4487799139
