■三菱鉛筆 Signo bit 0.18
現時点で世界一ボール径の小さいゲルインクのボールペンがSigno bit 0.18だ。きたきつねも分野は違うが技術系の人間なので、このボールペンの技術的すごさは判るつもりだ。ボールペンのボール径を小さくすることに、各メーカーが挑戦してきているが、ゲルインクのボールペンでは、ボール径が0.4mmの壁を破ってから、0.38、0.35、0.30、0.28、0.25ときて、一気に今回の0.18mmになった。ボール径をずっと0.02から0.03mmのステップでしか縮められていなかったが、ここにきて0.07mmも小さくなったわけだ。
ボール径が小さいということは、ボールが紙に接触している部分の面積が極めて小さくなるためボールとボールを受けているチップに大きな力がかかるだけでなく、ボールの円周が小さくなり筆記時のボールの回転数が早くなるため、インクがボールに着きにくくなるなど、いろいろと克服しなければいけない問題が多かったはずだ。多くの技術的問題をクリアーして製品化したことは、素晴らしいことだ。
確かに、手帳に小さな字を書くことはあるが、これほど細い筆記線がユーザーに必要かというところに疑問がわく。また、この種のボールペンを使うのが中高生が多いので、小さな字しか書かなくなることも心配だ。三菱鉛筆とパイロットのメーカーとしての面子をかけた競争にユーザーが巻き込まれているような気がするのは、考え過ぎだろうか。
（文具と事務機 2005年４月号掲載）
