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■三菱鉛筆 パワータンクスマートシリーズ 平成２１年末に三菱鉛筆のパワータンクのニューモデル「パワータンク・スマートシリーズ」が発売になった。パワータンクは、加圧式の油性ボールペンとして平成１３年に発売になってから、平成１４年にパワータンク・スタンダード、平成１６年にパワータンク・スタンダード（ノック式）と続いて、今回５年ぶりの新製品シリーズとなる。 圧縮空気でインクを加圧しているので、上向き筆記、無重力状態での筆記、水に濡れた紙、氷点下の環境でも筆記できるという特徴のあるパワータンクは、日本では特異な油性ボールペンといえる。１９６０年代に開発され、アポロ計画でも使われたフィッシャーの「スペースペン」は特別として、パワータンクは加圧式油性ボールペンを普及版の製品にまで完成させた意義は大きい。 パワータンクは機能的にはアウトドアでの利用に向いていて、そのような新製品を期待していたけれど、パワータンク・スマートシリーズは、普通のオフィス用のボールペンで期待を大きく裏切られた。 スペースペンはパリ・ダカールラリー用の特別仕様車とすれば、パワータンクは市販車としてプロダクションカー世界ラリー選手権に出るくらいの気持ちがないのだろうか。例えば、国際宇宙ステーションで野口宇宙飛行士がパワータンクを使うことは無理としても、自衛隊や海上保安庁の現場でのヘビーユースに使えるくらいの製品を作り出せないものだろうか。新年に期待したい。 （文具と事務機 2010年1月号掲載） |