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■パイロット ダウンフォース パイロット万年筆から、加圧式油性ボールペン「ダウンフォース」が発売された。３年前に発売されたトンボ鉛筆の「エアプレス」と同様に、ノックで替芯の中の圧力を高くするというものだ。油性ボールペンを加圧式にすることで、ボールペンが苦手とする上向き筆記や湿った紙への筆記が可能になるし、インクの出が良くなるので普通のインクでも低粘度ボールペンに似た早書きができる。 「ダウンフォース」は「エアプレス」という手本があるので、欠点を改善することができるはずだけれど、替芯を普通サイズのものが使えるようにしたことと、価格を安くできただけの様にしかみえない。軸に穴が空いているけれど、「エアプレス」のように加圧メカニズムを見せているわけではない。クリップはバインダークリップだけれど、同社の１００円ボールペンの「パティント」と同じものだ。 類似した商品を発売する動機として、売れているからという単純なものや、これくらいのものは簡単に作れるというメーカーとしての意地と色々あるのだろう。「ダウンフォース」の場合は、自社の商品ラインナップに加圧式ボールペンがないというメーカーの意地のような気がする。といっても、三菱鉛筆の「パワータンク」のように窒素ガス封入式の替芯と同じものを作るのは難しいから、比較的簡単な替芯内の圧力をノックで高くするという方法になったのだろう。 メーカーが競争して切磋琢磨することは必要だと思うけれど、類似商品を狙うのではなく、パイロットでいえばフリクションのようにオリジナリティーの高い製品を作っていくべきだろう。 （文具と事務機 2011年7月号掲載） |