計算尺
関数電卓がない時代には、工学系の学生の必需品は計算尺だった。有効数字3桁の計算しかできなかったが、実用的には問題なかった。持ち運びができて、電気がなくてもいつでも使えるという、今でいうユビキタスな道具だった。
計算尺の思い出といえば、大学の教養の時に物理の追試を受ける前に計算尺の試験があって、それができないと追試を受けさせてもらえないという変わった助教授にあたってしまったことだった。その追試の問題が全部英語というのもので、問題を見たとたん絶句した。
計算尺は、温度や湿度の変化にも狂いのない竹が使われていた。ヘンミ計算尺がトップメーカーで、中学校の授業で使う安いものから、有効数字が４桁でいろいろな関数が付いた高級品まで色々な種類の計算尺があった。今ではもう製造されていないが、在庫品が某文具専門店にあってまだ購入することができる。
写真の計算尺は、友人のお父上の愛用のものを最近貰ったものである。裏にHENMI MADE IN OCCUPIED JAPANとあって、日本が連合軍に占領されていた時代のものだけれど、目盛り狂いが全くない。
